氏名 (Name):
神薗 健次 (KAMIZONO, Kenji)
所属 (University):
長崎大学 (Nagasaki University)
Email address:
k-kamiz@nagasaki-u.ac.jp
Homepage URL:
 
専門分野 (Major):
確率論 (Probability theory)
研究テーマ(Research Theme):
p進数を時変数とする確率過程 (Stochastic processes with p-adic time index)
キーワード(Keywords):
Brown 運動 (Brownian motion)、確率積分 (Stochastic integral)、p進解析 (p-adic analysis)
研究の内容(Research Contents):

20世紀初頭にK. Hensel によってp進数が導入されて以来、p進数は数論にとって不可欠な題材となった。また、F. Bruhat (1956)、 I. M. Gelfand他 (1969)、 V. S. Vladimirov (1988)らによって、p進数を独立変数として複素数ないし実数を従属変数とする関数解析学(以下p進解析と呼ぶ)、とりわけ通常の解析学における Schwartz超関数論の対応物が研究され始められた。p進解析は、数学においては数論や表現論に応用されているが、近年ではさらに物理学においてもp 進解析が応用されるに至っている。なお、p進数に関連する解析学としては、独立変数・従属変数がともにp進数であるような解析学も精力的に研究されている。p進解析は、理論・応用の両面において現在も発展を続けている、壮年期の分野である。

p進数と確率過程論との関連では、p進数体を状態空間とする確率過程論が1990年代からS. Albeverio and W. Karwowski (1991他)、K. Yasuda (1996)、A. N. Kochubei (1997)、 S. Albererio and X. Zhao (2001) 等によって研究されている。他方、p進数を時変数として状態空間を複素数体ないし実数体とする確率過程論としては、A. Kh. Bikulov and I. V. Volovich (1997) による、p進整数を時変数とする Brown 運動の研究に始まり、A. Kh. Bikulov (1999) による発展研究があるが、p進数体を状態空間とする確率過程の研究に比べると相対的に未発掘の分野である。本研究者はこれまで、p進整数を時変数とする Brown 運動による確率積分を考案し、Malliavin 解析における発散作用素との関連性を調べ、また、p進数全体を時変数とする Brown 運動の構成について考察し、A. Kh. Bikulov and I. V. Volovich (1997) の結果を一般化した。

現在進行中の研究テーマとしては、p進数を時変数とするランダム・ウォークを考案し、通常の確率過程論においてDonsker の不変性として知られる極限定理の対応物を証明することがある。p進数体は通常の実数体と異なり、自然な順序関係が定義されないため(その代わり、自然な木構造を持つ)、p進時変数という概念に実感が伴いにくい。極限定理の研究により、p進時変数のもつ、諸科学への応用上の意味が明らかになることが期待される。

近い将来の研究テーマとしては、p進数を時変数とする確率微分方程式やそれに関連する話題、さらにはp進時変数の発展型として、アデール環に時変数をとる確率過程についても考察したいと考えている。

主な業績(Major Publications):
“The Symmetric Stochastic Integral with respect to a p-Adic Time Brownian Motion”, Submitted, February 2007.

“p-Adic Brownian Motion over Qp”, Manuscript, March 2007.
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Empirical Study on Asian Financial Markets

Edited by Masayuki Susai Hiromasa Okada

本書は、2006年12月に長崎大学において開催された国際カンファレンス等で報告された東アジアの金融市場を対象とした金融および会計学における実証研究の成果をまとめたものである。