氏名 (Name):
小野 哲 (ONO, Tetsu)
所属 (University):
長崎大学 (Nagasaki University)
Email address:
onotetsu@nagasaki-u.ac.jp
Homepage URL:
 
専門分野 (Major):
管理会計(Management Accounting)
研究テーマ(Research Theme):
システム化の課題(Problem of systematization)
キーワード(Keywords):
システム(system)、情報化プロセスモデル(informationization process model)、人的資源(human resource)
研究の内容(Research Contents):

システム化の課題という問題を考察するにあたり、フレームワークを構築することが有用であることから、マッカーシー(W.E.McCarthy)等のモデルを参考にして、それが会計学に与えた意義を考慮しながら情報化プロセスモデルを考えるに至った。

この情報化プロセスモデルとは、マッカーシー等の問題意識であるシステム中心観に立脚し、ハードウェアやソフトウェアがヒトとは無関係に進化し続けるという認識の下、システム導入が成功に至るプロセスと、このプロセスは一回限りのものではなく、企業が情報化による競争優位を追求し続け、情報化による成果を享受する限り繰り返され続け、全体としてらせん状に上昇していくと考えに基づくもので、このプロセスにおいて重大な役割を果たすのが、システムの構築・活用・改良・進化について適切な判断が行える人材すなわち人的資源であることを明らかにしたものである。

このような情報化プロセスモデルが現実の問題ついて応用できるかを検証するために内部統制を取り上げ、内部統制が財務報告の信頼性をシステムの面から保証するウェートが高い課題であり、それはまた一回限りの問題でないことから、内部統制が情報化プロセスモデルで想定したシステム中心観に立脚すべきシステム化の課題の端的でかつ重要な一例であることを示した。

加えて、内部統制の実施に関わるシステムはERPパッケージや不正アクセス管理ツール等のいわば内部統制を強化するツールと一体的に考えるというシステム構築の視点を述べ、このようなシステムの構築を行うためには適切な判断が下せる人的資源が重要であることを指摘した。

さらに、文書化や監査報酬等遵守のため不可避的に多額のコストを伴う内部統制について、企業がこれを費用効率的に実施することがシステム化による最も大きな成果である点についても触れ、結局のところ成果の側面でも人的資源が大きな存在であることを述べた。

現在このようなシステム化の課題を、企業等の事例等を踏まえつつ、その望ましい展開の仕方や、キー・パーソンとなりうるCIOのコア・コンピタンスという面から検討している。

主な業績(Major Publications):
「マッカーシーモデルの再検討-その会計学における意義を求めて-」『経営と経済』(長崎大学経済学会)第84巻 第3号, 2004年12月27 日, pp.225-252.

「フレームワークとしての情報化プロセスモデル-情報化成功における管理会計の役割研究へ向けて-」『経理研究』(中央大学経理研究所)第49 号,2006年1月30日, pp.381-394.

「システム化の課題-内部統制を一例として-」『経理研究』(中央大学経理研究所)第50号,2007年3月5日, pp.337-348.

「内部統制による企業への影響-コストとシステムの視点を中心としながら-」『経営と経済』(長崎大学経済学会)第86巻 第4号, 2007年3月23 日, pp.31-62.

「情報化プロセスモデルへのトヨタ生産方式からの知見」『経理研究』(中央大学経理研究所)第51号,2008年2月25日, pp.231-240.

「情報化プロセスモデルにおけるCIOの重要性とその望ましいコア・コンピタンス」『経営と経済』(長崎大学経済学会)第87巻 第4号,2008年3月 23日, pp.15-33.
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Empirical Study on Asian Financial Markets

Edited by Masayuki Susai Hiromasa Okada

本書は、2006年12月に長崎大学において開催された国際カンファレンス等で報告された東アジアの金融市場を対象とした金融および会計学における実証研究の成果をまとめたものである。