2020年11月26日

経済学部: 千野厚准教授の研究成果がJournal of
Financial and Quantitative Analysis誌に
掲載されました。

長崎大学経済学部

自然科学・社会科学分野の学術雑誌を対象として、その雑誌の影響度や引用された頻度を測る指標の “ジャーナルインパクトファクター (journal impact factor)”1 にて、高評価を得ている学術誌 “Journal of Financial and Quantitative Analysis” に、経済学部の千野厚准教授の論文 “Alternative Work Arrangements and Cost of Equity: Evidence from a Quasi-Natural Experiment”2が掲載されました。

本論文は、日本における近年の非正規雇用の増加が、日本企業の株主資本コストに与えた影響を分析しています。特に、2003年に行われた労働者派遣法の改正以降に、急激に増加した製造業における派遣雇用が、企業の株主資本コストに与えた因果的影響を、上場企業の株価・財務データを用いて分析しました。推定結果として、製造業の株主資本コストは、非製造業のそれと比較して、2003年以降に有意に低下したことが示されました。この結果は、派遣労働者の雇用により人件費の変動費比率が上昇し、企業の利益変動リスクが低下することを株式市場が織り込み、株主資本コストが低下したという解釈と整合的であります。本論文は、労働市場の規制緩和が、企業価値に対しては正の影響をもたらした事実を明らかにしました。

なお、Chartered Association of Business Schoolsが発表した学術誌ランキング (Academic Journal Guide 2018年版) によると、Journal of Financial and Quantitative Analysis誌は、ファイナンス分野ランキングでランク4 (最高ランク4*) にカテゴライズされています。


COPYRIGHT 2020, MICHAEL G. FOSTER SCHOOL OF BUSINESS, UNIVERSITY OF WASHINGTON, SEATTLE, WA 98195

1   インパクトファクターは、ここ2年間における「平均的な論文」の被引用回数を示し、回数が高いほど評価が高い。

2   https://doi.org/10.1017/S002210901900108X


▲ページ上部へ