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開催報告:経済学部講義「国際関係概論」にて、世界税関機構 (WCO) 前事務総局長の御厨邦雄氏が登壇

長崎大学経済学部では、入学後間もない新入生向けに、グローバル人材の育成を目的として「国際関係概論」を開講しています。グローバル社会で活躍するには何が必要なのか。政府機関、民間企業、NGOなど、国際舞台の第一線で活躍されている方々が講師を務める全15回の講義です。

5月10日(金) の講義では、15年間にわたり世界税関機構 (以下WCO) 事務総局長として活躍してきた御厨邦雄氏が登壇しました。「大転換期にある貿易と税関」との演題を掲げた講義で御厨氏は、古代都市国家の時代から始まる関税の歴史や税関の業務内容、そしてWCOの国際的な役割について、解説しました。また、グローバル・サプライチェーンの台頭といった世界経済の変化、地政学や経済安全保障の重要性が高まる国際政治の変化、そしてインターネット取引などの技術の進展に対応するため、税関およびWCOの業務が変化してきたことにも触れました。

講義終盤では、多くの学生から質問が寄せられました。特に、国際機構で働く職員の優れた点についての質問に対し、御厨氏は日本人のチームワークの優秀さを挙げつつ、発信力は他国に学ぶ余地が大きいと強調し、グローバル社会で活躍するために学生が身に付けるべき重要な課題を提示しました。

今日の世界経済には、国家間の対立や格差拡大といった暗い影が落ちています。この講義は、学生にとって国際経済や国際関係の将来について深く考察する貴重な機会となりました。

講義を行う御厨邦雄氏
講義に熱心に耳を傾ける学生の様子