AHPの結果をどう使うか。

@いくつかの代替案の中から、最も優先度の高いものを見つけることができる。
 (例えば、公共的あるいは政策的な多基準型問題に対し、総合的にみて最適な代替案を見いだすことができる。)

A最優先のものばかりではなく、次点、次次点のものも数値で比較できる。
 (例えば、車のディーラーが、その地区の居住者の価値観をもとにAHPを行い、そのウェイトに従って車種を揃えておく
  といった経営活動に利用できる。)

B判断の整合性をチェックすることができる。

C感覚的な情報を数量化でき、多数の評価者がいる場合でもその比較や重要度の分布状態を把握できる。
 (例えば、マーケティングやアンケート調査、人事評価などに利用できる。)


なぜAHPによる判断が正しいのか。

計算法上の根拠は後述するとして、AHPの正当性を示す2つの実例を挙げる。

@Saaty(注1)の明るさの実験
  光源から9フィート、15フィート、21フィート、28フィートのところに椅子があり、そこに人を立たせてその地点の明るさを
  それぞれ一対比較してもらう。この一対比較表をもとに各位置のウェイトを総合化(つまり相対的明るさを算出)すると、
  その値はその地点の明るさの理論値と非常によく合致した。

ASaaty他による国力推定の実験
  日本、アメリカ、ソ連、西ドイツ、フランス、イギリス、中国各国の経済力をそれぞれ一対比較して推定してもらう。
  この一対比較表をもとに各国経済力のウェイトを総合化すると、そのウェイトは各国の実際のGNP比率と非常によく合致した。
  


(注1)Thomas・L・Saaty博士

    世界的に著名な意思決定法考案者であり教育者。
    現在、ピッツバーグ大学カーツ経営学大学院の主任教授。