現地時間の夕方、12時間の flight から開放されてヒースロー空港に到着。かつてヨーロッパに行くときはモスクワ経由かアンカレジ経由で17ー18時間かかったことを思えば楽な旅である。(そう言えばあの、アンカレジ空港給油時に transit の客相手に大繁盛していたうどん屋の日本人おばちゃんたちはどうなってしまったのか?)
ダイアナが住んでいたケンジントン・パレスからそう遠くない、グロスター・ロードのホテルにチェックイン。古くて歴史を感じさせる造りはさすが・・・・・であるが、部屋の快適度はグッと落ちる。一泊120ポンド(24000円)は高い。
部屋にいると寝てしまいそうなので、時差を早目に取るためにも外食することにする。考えるのも面倒なので、ピカデリー・サーカスに近いレスター・スクエアまで地下鉄で行き、適当に何か食べることにす。たった数駅なのに1.2ポンド(240円)。日本の地下鉄に比べてかなり高い感じ。
「ロンドンは食い物はまずい。中華しか食えない。でも最近、イタリア料理が増えて、これが結構いける」という人の言葉を信じてイタリア料理店に入り、スパゲテイを注文。まずい! 耐え難くまずい。もちろん、日本でもうまくないものを食わせる店はある。だが、今感じているこのまずさは、そういった単にうまくないといったレベルでは到底ない。もっとはるかにうまくないのである。しかも広場の横の軽食屋風の店に入ったのにも拘わらず、7ポンド(1400円)もする。あまりにもプライスとベネフィットがかけ離れている。
今まで生きてきて「ものがうまいくない」ということと「まずい」ということをきちんと区別していなかった自分に気がついて愕然とした。これまで「うまくない」だけなのに「まずい」と言ってしまった相手には謝らなければならない。これから私は「うまくない」と「まずい」の違いを大切に生きていきたいと思っている。
September 9, 1997
ロンドンにて 藤 野 哲 也