藤野哲也のロンドン・レポート

ロンドン・レポート No.2 「 Alien Office へ出頭す」


 ヒースロー空港の入国審査は厳しい。到着した旅客が長蛇の列をなしているのにかまわず、一人一人に何やらじっくり聞いている。アラブ系らしい家族連れなんか、自分の順番が来ても後回しにされ、列の横に出されて待たされている。恐ろしく時間がかかる。

 機内で隣り合わせた日本人女子学生は、英国留学中に日本に一時帰国してロンドンに戻るところだと言うが、入国を拒否されることをひどく恐れている。「留学での入国が一旦許可されているんだから、一時帰国から戻るときには問題にならないだろう」と慰めても、「いいえ、イギリス人は意地が悪いんです」と言って心配顔である。

 何でも、留学生が英国の学校の入学許可証を見せても「学生なのに留学の費用はどうしたのか」とか、働いて稼いだと説明しても「学生のくせに働いているとはどういうことだ」とか突っ込まれるケースがあるそうな。その娘の友達はうまく説明できずに「実は親に出してもらいました」と言ったら、「なんで嘘をついた」と責められ、泣き出してしまったという。結局、泣いたことで許可が下りたのだから、目出度いと言えば目出度い。

 入国審査がOKならビザがスタンプされ、「一週間以内に警察に出頭するように」言われる。ロンドンの場合、それは警察は警察でもホルボーンにある ALIEN OFFICEのことである。「なに!エイリアンとは?」と思って辞書を引くと、まず外国人とある。 宇宙人の意ではなく、foreigner の意で使っているらしい。勉強になった。在外研究の成果である。

 因みに、わがエイリアン番号は L 854327であり、エイリアン登録料は34ポンド(6800円)であった。

  September 15, 1997

  ロンドンにて  藤 野 哲 也




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