藤野哲也のロンドン・レポート

ロンドン・レポート No.7 「サッカー中継」


 日本でもワールド・カップ出場が危うくなって監督が更迭されるなどテンションが上がっているが、テンションが上がると言えば何と言っても本場イギリスのフーリガン(hooligans)である。

 先日のワールド・カップ出場が懸かったイタリアとの決戦には大量のファンがローマに向かい、対戦前夜にはローマ市内で警察との戦いが火蓋を切って逮捕者が出た。

 前夜の戦いが尾を引いたか、当日は試合開始と共に戦いはエスカレートし、ファン同士の小競り合いから遂にはイタリア警官隊 V.S.イングリッシュ・フーリガンの壮絶な乱闘になり、テレビ中継もグランドの試合と観客席の乱闘をかわるがわる放映していた。

 見ていると、警官隊は警棒などで武装しているのにフーリガンは素手であり、明らかに分がないにもかかわらず簡単には引き下がらないのはすごい。解説によれば、フーリガンの中核は単なるサッカーファンではなく、英国ナチ党など既に当局に顔も名前も知れた恐い存在なのだそうだ。

 戦いの結果は、試合の方は引き分けでイングランドが出場権を得、イタリアは他のグループ2位との決戦にかけることになった。乱闘の方は勿論イタリア警官隊の勝ちであるが、警官隊がイタリア人ファンよりイギリス人ファン(フーリガン)につらく当たったとしてイギリス・サッカー協会が抗議。両国間で閣僚レベルの交渉が続いている。

 ところで、こうした国際試合はテレビ中継で見ることができるのだが、普段、国内の一部リーグ(プレミア・リーグ)の試合は普通のテレビでは見ることができない。何年か前に、リーグが衛星放送と独占契約をしたために衛星放送局だけが実況中継できるのである。

 サッカー好きとしてはすこぶる面白くないが、その代わりテレビ局は何とイタリアの一部リーグ、セリエ Aの試合を中継している!

 プレミア・リーグをスポーツニュースでしか見られないのは残念だが、フーリガンがセリエ Aの試合を見ながらどうしているのか、是非知りたいものだと思っている。

 Oct.26,1997

 藤野




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