氏名 (Name):
森保 洋 (MORIYASU, Hiroshi)
所属 (University)
長崎大学 (Nagasaki University)
Email address
moriyasu@nagasaki-u.ac.jp
Homepage URL
http://www.moriyasu.org/
専門分野 (Major)
計量経済学 (Econometrics)
研究テーマ(Research Theme)
金融市場のマイクロストラクチャー分析 (Analysis of the microstructure of financial market)
キーワード(Keywords)
時系列分析 (time series analysis)、マーケット・マイクロストラクチャー (market microstructure)、金融市場 (financial market)
研究の内容(Research Contents)

従来、金融市場に関する実証分析は1日に1度、ないしは1ヶ月に1度の間隔で観測された価格情報や取引量などのデータを利用して行われてきた。一方、情報通信技術の発展に伴い、取引時間中に行われるすべての取引に関する時刻、価格、数量などが記録されたデータ、いわゆる超高頻度データの入手が容易になりつつある。超高頻度データを利用することにより、従来のデータでは分析することが不可能であった日中の価格変動特性などの市場の微細な構造(マーケット・マイクロストラクチャー)の解明が可能になる。

超高頻度データの特徴として、観測される時間間隔が不均一であることが挙げられる。時系列分析の手法では、観測データは等間隔で観測されると仮定されることが一般的であり、従来の手法では超高頻度データの分析に対応できない場合が多い。また、観測頻度が低いデータでは観測されない日中の変動特性をモデル化する必要もある。

研究者は、金融市場のマイクロストラクチャーを解明するため、超高頻度データの分析に適した時系列モデルの開発と、そのモデルを用いた実証研究に従事してきた。具体的に取り組んだ研究課題として、(1) 株式市場に流入する情報が株価収益率の変動の大きさ(ボラティリティ)に与える影響 (2) 複数の取引所で同時刻に取引されている金融商品の単位時間あたり取引回数の関連性の分析 (3) 金先物の取引時間間隔と価格変化の関係の分析 (4) 株式の取引単位引き下げが売買の容易さの程度(流動性)に与える影響 などがある。

近年、研究者は取引制度が金融商品のボラティリティや流動性にどのような影響を与えるのかに興味を持っている。例えば、「フロアー取引を採用する取引所と、電子取引を採用する取引所ではどちらの流動性が高いのか」、「値幅制限を課す取引所と課さない取引所ではボラティリティの大きさに違いがあるのか」などである。これらのテーマを研究することにより、投資家にとってより望ましい取引制度の設計に貢献できると考える。

主な業績(Major Publications)
“The Impact of Electronic Trading System on Market Efficiency: An Analysis of Nikkei 225 Futures Market in Singapore” (with Masayuki Susai), Proceedings of the 19th Asian-Pacific Conference on International Accounting Issues, November 2007.

「日経225先物の日中取引頻度-大阪証券取引所とシンガポール取引所の連関性-」(須齋正幸氏との共著),生活経済学研究,第20巻,2004年9 月,pp.145-160.

「株価ボラティリティと情報の関係-個別株価ティックデータによる検証-」(須齋正幸氏との共著),証券経済学会年報,第38号,2003年5 月,pp.35–47.
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Empirical Study on Asian Financial Markets

Edited by Masayuki Susai Hiromasa Okada

本書は、2006年12月に長崎大学において開催された国際カンファレンス等で報告された東アジアの金融市場を対象とした金融および会計学における実証研究の成果をまとめたものである。