令和4年3月博士後期課程修了
長崎県文化団体協議会
能力に投資
博士課程に入学して修了するまでには、時間も、手間も、お金もかかります。特に、働きながら通う際は、日々のやりくりにも、ちょっと工夫が必要です。ただ、様々な苦労を投資した以上のリターンが、自身の能力として返ってくることは実感できると思います。
私は、主にクラシック音楽業界をフィールドとしながら、アートマネジメントや文化経営学の専門家として、主に公共文化事業等に従事しています。公共文化事業の現場では、アーティストのみならず、行政や企業、市民など、多様なステークホルダーとの折衝が日常的に行われます。加えて、公的資金を投入するため、その都度、成果を各ステークホルダーに説明する必要があります。博士課程を受験するにあたり、私が抱えていた課題は、文化芸術という、定性的には一定程度説明(評価)できても、定量的に評価し難い分野について、各方面にどのような成果の示し方があり得るのか?また、定量的に評価し得るとすると、どのような方法を通じて実態に即した評価が可能なのか?というものでした。そして、運よく数学がご専門の先生にお声掛けいただき、データ包絡分析法(DEA:Data Envelopment Analysis)を、オーケストラの複数項目からなる実績データに適用した、新たな定量的な評価方法を提案することができました。そして、修了後も、業務と関連して、この研究の次の展開を検討中です。
博士論文の執筆過程には、①あるテーマに関する先行研究や現在進行中の事象を網羅的かつ確実に把握し、②それに基づいて自身の研究テーマを確立し、③仮定を立て、分析方法を決定して検証し、考察して、④最終的に新規性・独創性・検証可能性等を伴った理論を発表する、という大きな流れがあります。博士課程は、この一連の過程を通して、各研究分野で研究者として独り立ちする知識・技能を身につける場です。ただ同時に、ここで培った能力は、実社会でもとても役立つものです。個人的には、多様な情報を収集し、選択し、整理して、編集する能力が以前と比べ向上し、日々の業務が効率化され、総じて自分が楽になった(←ココが重要!)気がします。研究者を目指す方はもちろん、ビジネスの世界でご活躍の方々にも、この体験はおススメです。ぜひご検討ください。
平成31年3月博士後期課程修了/
平成12年3月博士前期課程修了
長崎総合科学大学教授
学びの炎は、消えない―
次に歓喜の扉を開くのはあなた
私は、十八銀行(現十八親和銀行)での仕事と家族の介護に向き合いながら、52歳で博士後期課程に進学し56歳で博士を取得しました。博士論文のテーマは「戦略不全の中期的分析枠組み」という経営戦略の機能不全を研究しました。
仕事と研究の両立は、予想上に時間も体力も限界の中で不安と葛藤の連続でした。それでも、「研究に対する問いと熱量」は消えず、逆に加速していきました。慌ただしく仕事を終えるとスーツ姿のまま夜のキャンパスへ駆け込み、帰宅後や土日祝日も研究に向かう時間は不思議と胸が高鳴りわくわくする、私にとってかけがえのない「幸せの時間」でした。往復の通勤バスの中は参考文献を読み込み、博士論文を考察する最高の研究室。まさに、日常の全てが学びの場でした。
ビジネスの現場で抱いた疑問が研究によって理論と結びついた瞬間、胸が震えるほどの「人生最高の歓喜」が込み上げました。研究することは、自分の世界を広げ人生を豊かにする原動力そのものだと心から実感したのです。
そんな私を支えてくださったのが、指導教員の林徹先生と林ゼミの仲間、そして家族の存在でした。温かく寄り添う林先生の指導に何度も救われ、挑戦を続ける勇気をいただきました。林先生、ゼミの仲間、家族へ感謝の念に堪えません。博士後期課程での研究=学びは人生を変える、研究の積み重ねが確信に変わり困難な道を切り拓き、今、私は、博士後期課程修了すると同時に、夢であった実務家大学教員として長崎総合科学大学で教壇に立っています。
しかし、人生の挑戦に終わりはありません。63歳となった現在も、長崎県立大学大学院博士後期課程地域創生研究科で「二つ目の博士号」取得を目指し、「地域の未来を創るインクルーシブイノベーションの研究」に挑み続けています。研究に年齢や環境は関係ありません。研究=学びたいと願った瞬間が出発点です。研究の先にある「歓喜の景色」を見たくないですか?次に人生の「歓喜」の扉を開くのは、あなたです。
最後にメッセージです。
「私が私を超えていく」Alexandros – 超える より


