長崎大学大学院経済学研究科 概要 2025

長崎大学大学院経済学研究科 概要 2024

先輩からのメッセージ

培った能力は研究者はもちろん実社会でもとても役立つもの

令和4年3月博士後期課程修了

長崎県文化団体協議会

新井友梨

能力に投資

 博士課程に入学して修了するまでには、時間も、手間も、お金もかかります。特に、働きながら通う際は、日々のやりくりにも、ちょっと工夫が必要です。ただ、様々な苦労を投資した以上のリターンが、自身の能力として返ってくることは実感できると思います。
 私は、主にクラシック音楽業界をフィールドとしながら、アートマネジメントや文化経営学の専門家として、主に公共文化事業等に従事しています。公共文化事業の現場では、アーティストのみならず、行政や企業、市民など、多様なステークホルダーとの折衝が日常的に行われます。加えて、公的資金を投入するため、その都度、成果を各ステークホルダーに説明する必要があります。博士課程を受験するにあたり、私が抱えていた課題は、文化芸術という、定性的には一定程度説明(評価)できても、定量的に評価し難い分野について、各方面にどのような成果の示し方があり得るのか?また、定量的に評価し得るとすると、どのような方法を通じて実態に即した評価が可能なのか?というものでした。そして、運よく数学がご専門の先生にお声掛けいただき、データ包絡分析法(DEA:Data Envelopment Analysis)を、オーケストラの複数項目からなる実績データに適用した、新たな定量的な評価方法を提案することができました。そして、修了後も、業務と関連して、この研究の次の展開を検討中です。
 博士論文の執筆過程には、①あるテーマに関する先行研究や現在進行中の事象を網羅的かつ確実に把握し、②それに基づいて自身の研究テーマを確立し、③仮定を立て、分析方法を決定して検証し、考察して、④最終的に新規性・独創性・検証可能性等を伴った理論を発表する、という大きな流れがあります。博士課程は、この一連の過程を通して、各研究分野で研究者として独り立ちする知識・技能を身につける場です。ただ同時に、ここで培った能力は、実社会でもとても役立つものです。個人的には、多様な情報を収集し、選択し、整理して、編集する能力が以前と比べ向上し、日々の業務が効率化され、総じて自分が楽になった(←ココが重要!)気がします。研究者を目指す方はもちろん、ビジネスの世界でご活躍の方々にも、この体験はおススメです。ぜひご検討ください。

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